【食に安心をプラス】食品におけるコンタミネーションを解説

自然農法をする上ではあまり馴染みのないコンタミネーションという言葉ですが、アレルギーの問題や、食品の表示違反の問題がでてきた時にメディアで取り上げられることが多い言葉です。

通称 “コンタミ” と呼ばれるこの言葉ですが、異物が混入している程度の意味しか知らないことが多いので、今回は食品におけるコンタミネーションについて深堀して行きたいと思います。

自然派・健康派を目指されている方は特に知っておいた方がいい知識なので、食品に関するコンタミネーションを一緒に勉強してみましょう。

食品におけるコンタミネーションとは

まずはじめに、コンタミネーションとは「混入」を意味しており、食品におけるコンタミネーションは、製造・加工時に原材料以外のものが混入してしまうことを言います。

コンタミネーションは、食品だけでなく、化学、産業、生物学などから考古学まで、多種多様、様々な分野に該当するもので、コンタミネーションは大きく別けて以下の2つのパターンで起こります。

  • 環境に既存のモノが混入
  • 抑留されていたモノが混入

例えば、生物学で環境に既存のモノが混入するのは、無菌状態で培養している際に雑菌が混入してしまうことで、抑留されていたモノが混入する事例は、放射線化学で抑留していた放射能が漏れ出して混入してしまうなどになります。

食品におけるコンタミの事例

各分野でコンタミネーションは起こるものですが、食品におけるコンタミネーションは、食品を製造・加工する際に異物が混入することを指しますが、国内で過去にあった事例としては以下のものがあります。

  • アレルゲンの混入
  • 微生物の混入
  • 薬品の混入
  • 表示と異なるものの混入
  • その他異物の混入

この中で特に「アレルゲン」「微生物」「薬品」の混入に関しては、食の安全に大きく関わり、命を脅かす重大な事故に繋がる可能性もあり注意が必要です。

食品のコンタミネーションは、製造ラインで混入することが多いいとされていますので、食の安全を目指すのであれば、コンタミネーション防止に努力している信頼出来る製造メーカーを探すのも1つのポイントになります。

自然農法に関しては「虫」がコンタミネーションする可能性がありますが、命を脅かす程ではないでしょう。因みに私は台所で虫と対面するのは苦手です!

コンタミネーションとアレルギーについて

食物アレルギーは、ある特定の物質を食べることによって、アレルギー反応が起こることをいいます。

厚生労働省がアレルギー物質を含む「特定原材料等」に指定している食物アレルギーの原因となるアレルゲンは現在25品目で、以下のものがあります。

>>参考:厚生労働省「アレルギー 物質を含む食品に関する表示Q&A改正(案)pdf<<

  • えび
  • かに
  • 小麦
  • 蕎麦
  • 落花生
  • あわび
  • いか
  • いくら
  • オレンジ
  • キウイフルーツ
  • 牛肉
  • くるみ
  • サケ
  • サバ
  • 大豆
  • 鶏肉
  • バナナ
  • 豚肉
  • まつたけ
  • もも
  • やまいも
  • りんご
  • ゼラチン

※太字朱色に関しては、特に発症数や重篤なアレルギー反応が起こるものとして、表示の必要性が高いものとされています。

主にこれらの食物に含まれるタンパク質が原因でアレルギーを起こすと言われていますが、以下の様なアレルギー反応を起こしていまいます。

  • 皮膚症状 かゆみ、蕁麻疹、湿疹
  • 呼吸器症状 くしゃみ、せき、鼻水、ぜん鳴、呼吸困難
  • 粘膜症状 充血、かゆみ、涙、口腔異常
  • 消化器症状 下痢、嘔吐、腹痛、血便
  • 神経症状 頭痛、倦怠感、意識朦朧

人によって症状の現れ方、軽症から重症まで症状も様々ですが、この様なアレルギー反応を防ぐために、食品衛生法:消費者庁によりアレルギー表示が定められています。

なんらかの食物アレルギーをもっている方は、食品を選ぶときにアレルギー表示を確認してから購入しますが、食品コンタミネーションの怖いところは製造メーカーが意図的に混入している訳ではなく、なんらかの原因で製造工程の中で混入してしまっているので表示することが出来ませんし、案外身近で起こりうることなので注意が必要です。

私は学生時代ボルタレン、社会にでてからプリンペランという薬剤でアレルギー反応を起こし、呼吸困難と意識朦朧を経験しましたが、死の危険を身近に感じた恐怖体験になっているので、アレルギーは怖いという印象が根付いています!

加工食品のコンタミネーション事例

加工食品のコンタミネーションでよくある事例は、硬い異物が混入している事案です。

パンやサラダや加工肉の中に、石やネジや歯が混入するなど。

恐らく製造ラインの中で混入したものですが、混入物を思いっきり噛むことにより、歯が折れたり欠けたりすることが多く、国内でも損害賠償裁判に発展していることが少なくありません。

学校給食のコンタミネーション事例

学校給食におけるアレルギー事故の発生件数は毎年約200件起きているとされており、2012年には10歳の女の子が死亡するといういたたまれない事案もあります。

学校給食のコンタミネーションでよく起こりうる事故は、調理時における除去食品のミスや、給食配膳の取違いなどのミスになります。

特に配膳に関しては、子どもたちが分担して行うことも多く注意が必要です。

外食産業のコンタミネーション事例

外食産業によるコンタミネーションでよくある事例は、うどんを注文した中に蕎麦が混入していたり、デザートに乳製品が含まれている、料理に非意図的に小麦が混入してしまう事案などです。

外食産業はアルバイトの学生も多く、アレルギーやコンタミネーションへの認識が希薄なこともあり、アレルギー食品に対して軽く考えている傾向があるようで、確認したのに混入していることも少なくないので注意が必要です。

コンタミネーション表示義務

内閣府が食物アレルギーのコンタミネーションについて、製造者に以下の様な防止対策の徹底を促しています。

>>参考:内閣府コンタミの表示の義務づけ資料pdf<<

  • 特定原材料等が製造ラインで混入しない様に十分に洗浄すること。
  • 特定原材料等を含まない食品から順に製造すること。
  • 可能な限り専用器具を使用すること。

これらの徹底を図ってもコンタミネーションの可能性が排除されない場合は表示基準に従って注意喚起表示することを推奨しています。

食品選択の幅を狭めることを回避する為に「入ってるかもしれない」などの可能性表示は禁止になっていることもあり、コンタミネーションの表示義務は基本的には無いといえます。

コンタミネーションの表示基準

厚生労働省では、アレルギー症状を引き起こしやすい物質を特定原材料等として指定しており、表示を義務付けているので一定の安心感があります。

これらの特定原材料等のコンタミネーションに際しての表示基準には以下の様なものが設けられています。

  • 最終製品中に特定原材料濃度が10μg/mLもしくは10μg/gより多い場合には、原材料欄に表示する。
  • 最終製品中に常に特定原材料が含まれる状態ではないが、最終製品中の特定原材料の濃度が10μg/mLもしくは数10g/gより多いことがある場合には、原材料欄の外に注意喚起表示を行う。
  • 最終製品中の特定原材料の濃度が10μg/mLもしくは10μg/gより少ない場合には表示しない。

自然界で獲れるもの、特に魚介類はどうしても特定原材料が混入してしまうことがあったり、製造過程で非意図的に混入してしまうことがあります。

これらの場合を想定して、上記の様な基準が設けられており、特定原材料が不定頻度で混入する場合は注意喚起、特定原材料混入量がごく僅かな場合は表示しなくてよいといった基準となっています。

内閣府のPDFには「コンタミネーション防止対策の徹底を実施しているにも関わらず混入の可能性を排除出来ない場合は注意喚起表示を推奨」とあるので、コンタミネーションの表示に関しては厳格な規定がないことが伺えますね・・・

>>内閣府コンタミネーション表示についてはpdf6枚目参照<<

よくあるアレルギー物質の混入|特定原材料の範囲がポイント

アレルギー物質の混入で気をつけておかないといけないのが、特定原材料の範囲です。

どの範囲までがアレルゲンとして認定されているかを抑えておかないと、特定原材料が含まれているかいないかの確認が難しくなります。

アレルギー物質混入の可能性の高い特定原材料の範囲をピックアップしていますので参考にしてみてください。

※以下の特定原材料の範囲については消費者庁のpdf資料を下に掲載をしております。

>>別添 アレルゲンを含む食品に関する表示pdf-消費者庁<<

特定原材料「小麦」の範囲

近年アレルゲンの1つとして問題視されている「グルテン」の含有量の違いにより、小麦の種類が別けられていますが、基本的にはすべての小麦が特定原材料の範囲内にあります。

  • 普通小麦
  • 準強力小麦
  • 強力小麦
  • デュラム小麦

上記小麦から精製される小麦粉に関してもすべて対象範囲となります。

小麦は色んな食品の原材料の一部として使われることが多く、含有の判別が比較的難しい食物になる上に、アレルギー症状が重篤になることもあるので、特に意識しておきたい食物の1つになります。

大麦・ライ麦に関しては特定原材料範囲外になりますので表示義務はありません!

特定原材料「卵」の範囲

卵の範囲についてよく間違えやすいのが、特定原材料の卵のカテゴリーで鶏卵のみを示するのか、他の鳥類の卵も含めるのかの判断です。

すべてということではないですが、鶏卵でアレルギーを起こす方の場合、他の鳥類の卵でもアレルギー症状を起こすことがあるので、

  • うずら
  • あひる
  • キジ
  • ガチョウ
  • ダチョウ

などの食用鳥卵も特定原材料の範囲内に入ります。全卵以外でも、

  • 卵黄
  • 卵白
  • 液卵
  • 粉末卵
  • 凍結卵

などに関しても、特定原材料の範囲内にあたりますので、注意が必要です。

鳥以外の生物である、魚卵・爬虫類の卵、昆虫類の卵などは特定原材料の範囲外になります!

特定原材料「乳」の範囲

学校給食の食物アレルギーで馴染みの深い牛乳チーズなどの乳製品に関しても範囲内のものと範囲外のものがあるので抑えておきましょう。

基本的には牛乳と豆乳(大豆の範囲内になります。)以外の以下の乳は表示の対象外になります。

  • 山羊乳
  • めん羊乳
  • 水牛乳
  • 牛乳の種類としては、
  • 牛乳
  • 生乳
  • 特別牛乳
  • 成分調整牛乳
  • 低脂肪牛乳
  • 無脂肪牛乳
  • 加工乳
  • 乳製品としては、
  • クリーム
  • バター
  • チーズ
  • ホエイ
  • アイスクリーム類
  • 脱脂濃縮乳
  • 練乳
  • 全粉乳
  • 脱脂粉乳
  • 発酵乳
  • 乳酸菌飲料
  • 乳飲料

などがあげられ、これらの分類に当てはまらない乳製品に関しては「乳又は乳製品を主原料とする食品」という表示が義務付けられているので、乳製品に関しては混入の可能性が高く、乳アレルギーをもっている際は注意が必要です。

ボディメイクが流行っている昨今、プロテイン需要が高くなっていますが、牛乳由来のホエイプロテインが主流なので注意が必要です!

コンタミネーション注意喚起表示の確認方法

コンタミネーション 表示 確認方法

アレルギーの危険性のある特定原材料等が多く含まれている場合は、原材料名の枠内に成分表示として記載されていますが、含有量が少なかったり、入っている可能性のある場合は、原材料の枠外に注意喚起表示が記されているので、原材料の枠外をよく読んで確認しましょう。

注意喚起表示の例文としては、

本品製造工場では小麦、卵を含む製品を生産しています。
本製品で使用している○○〇は、カニが混ざる漁法で採取しています。

などです。アレルギー反応が重篤な場合、注意喚起表示にその食物が記載されている際は、摂取に注意が必要なのでしっかりと確認しておきましょう。

特定原材料等の表示順

コンタミネーション 特定原材料 表示順

特定原材料などのアレルギー反応がある食物を含め、原材料に記載される表示順は、食品を製造する過程で原材料の重量の割合の高いものから表示し、続けて添加物に占める重量の高いものから順に表示することになっているので、アレルギー反応などに関係なく重量順での表示になっています。

コンタミネーションの場合は、非意図的に混入されているので、最後の方に記載されている可能性が高いといえそうです!

コンタミネーション防止対策

コンタミネーションは製品を加工する製造過程などで、どうしても起きてしまう事案です。

製造者にはコンタミネーションが起きない様に防止対策が促されていますが、具体的には以下の様なことが予防策としてとられています。

  • 製造ラインや機械等の洗浄
  • 特定原材料等を含まない食品から順番に製造
  • 可能な限り食品に則した専用器具を使用
  • コンタミネーションの予防対策がされている製造機械の導入
  • 食物の管理や情報収集体制の整備
  • 従業員へ研修等での教育の徹底

コンタミネーション予防は、ほとんどの加工業者が実践していますが、その中でも予防策を徹底している加工業者さんをご紹介してます。

株式会社堀川さんのコンタミネーション防止対策

株式会社堀川さんは、かまぼこやちくわなどの水産加工食品を主に製造している加工業者さんで、以下の様なコンタミネーション防止策を徹底されています。

  • 卵を使用した商品を同施設内で製造しているが、形成・加熱・包装など別ラインでの製造。
  • 万が一の場合を考慮して「この商品は卵を使用した商品と同じ設備で製造しています。」と表示。
  • 卵を使用する製品と使用しない製品で使用する道具を文字と色で解りやすく識別している。
  • 製品によっては、独立した施設や設備を使用。

株式会社堀川さんの自社ページにはコンタミネーション防止策が解りやすく掲載されているので、こちらもご覧ください。

>>株式会社堀川 コンタミネーション防止策はこちら<<

株式会社よかろうもん本舗さんのコンタミネーション防止策

株式会社よかろうもん本舗さんは、食品コンサルタント事業として創立された会社ですが、自社ブランドとして冷凍スイーツや冷凍総菜の製造販売を行っている会社さんで、以下のコンタミネーション防止策を徹底されています。

  • 代表的なアレルゲンは鍵をかけて個別に保管管理。
  • 調合室は作業者を特定し厳重な管理。
  • アレルゲンフリーカレーに関しては、他の製品製造を行わない土曜日のみ製造。
  • 製造で使用する機械を徹底洗浄と使用前に熱湯消毒。

株式会社よかろうもん本舗さんの、品質管理は以下のサイトで紹介されているので、こちらもご覧ください。

>>株式会社よかろうもん本舗さんのコンタミネーション防止策はこちら<<

嬉しいコンタミネーション

コンタミネーションは何かが混入してしまっていることの意味として使うのであまり良いイメージではないですが、世の中には嬉しいコンタミネーションもあるので、実際にあった嬉しいコンタミネーションをちょこっとご紹介します。

コンビニつまみの焼き貝

某コンビニの酒のつまみに陳列されている焼き貝を食べていると歯に硬い異物があたり、異物混入を疑ったら、なんと「真珠」だった。

スーパーで購入したシラス

スーパーで買ったシラスを食べていたら小さいタツノオトシゴみたいなものが入っていた。ちょっと縁起が良さそうですね。

嬉しいコンタミネーションを調べてみると海産物のものが多くありますが、嬉しいコンタミネーションは正に「海の幸」ですね!

まとめ

コンタミネーションで歯が損傷したりアレルギー症状がでたりなどの事故がありますが、人によってつくりだされるものであっても、機械によってつくりだされるものであっても、どうしても何かが混入してしまうことは起きてしまいます。

企業努力によってコンタミネーション防止策も年々改良がなされていますが、私達消費者も企業や国に依存するばかりでなく、1人1人が学んでいくことも大切なのかなと最近すごく感じています。

自然派や健康志向の方々は、食品や健康のことに対して凄く勉強熱心で色んな情報をご存知ですが、そういう方がもっともっと増えていくことがすごく大事なことですね。

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n+編集長

やまだ

ライター

山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。