発芽率の良いレンゲ畑の作り方を徹底解説!

一昔前の日本では、至る所にレンゲ畑がありましたが、統計によると1960年代以降急激に減少してしまいました。減少してしまった原因はいくつかありますが、その最たる理由は化学肥料の普及です。

緑肥や家畜の飼料として重宝されていたレンゲ。それ以上の愛らしい景観を誇っていたレンゲ畑の復活を目指して “ むら ” では、レンゲ畑復活プロジェクトを行いました。

実際に行ったレンゲ畑の作り方を、簡単なポイントを交えて紹介していきますので、レンゲ畑を作りたい方はぜひ参考にしてみてください。

レンゲについて

レンゲとはどんな植物?

レンゲはマメ科ゲンゲ属の植物で、原産は中国になります。

レンゲの花は小さなマメの花の集合体になっていて、複数の小さな花を放射線状に広げる様に咲かせ、花の多さも相まってピンク色の絨毯の様な景観ができ、成長後の草丈は15㎝程度になります。

暑さに弱く寒さに強い草花になります。

一般的には “ レンゲ ” と呼ばれていますが、正式な和名は “ ゲンゲ ” になります!

成長や開花時期

レンゲは越年草で、秋に発芽して冬を越し、翌年の春に花を咲かせます。

地域にもよりますが、大体10月頃に種を撒いて、開花は4月上旬から5月下旬になります。日本は地域の差によって寒暖差があるので、何月に開花とは断定出来ませんが、目安としてはサクラが開花してから少し経過した後位が目安です。

緑肥としての役割

化学肥料が普及する前は、レンゲは田んぼの緑肥として大活躍していましたが、レンゲの有用性は土の中に窒素をたくさん取り込ませることになります。

窒素は微生物やミミズの餌になり土壌が活性化するので、土が柔らかくなったり栄養価の高い土壌が出来上がるので、稲などの植物をしっかりと成長させることが可能になります。

レンゲ畑を作る手順

葛駆除方法 アフター

レンゲ畑を作るには以下の手順が必要になります。

  • 土地の準備
  • 草刈り
  • 耕す
  • 種まき
  • 鎮圧
  • 水やり

発芽率を高めるために一般的な方法よりも少々過保護にレンゲ畑の準備をしています!

レンゲ畑作り手順 ① 土地の準備

レンゲ畑に適した土地ってあるの?

レンゲの成長に大切なのは、なんといっても “ ” です。

どんなに肥えた土地でも水がないとうまく発芽しないので、元々田んぼだった土地や、ある程度雨が見込めるような土地が適しているといえます。

おすすめのレンゲ畑に適した土地の準備

内閣府調べでは、日本の耕地面積の半分以上が田んぼで、耕作休耕地は年々増加しており、休耕地になっている発生原因の第1位は高齢化や労働力不足によるものなので、レンゲ畑に適している元々田んぼだった土地が近所にある可能性はかなり高いということになります。

>> 内閣府 農地・耕作放棄地面積の推移はこちら <<

こういった休耕地の所有者さんは、草刈りを実費で農業公社や農業委員に依頼していることが多く(これが結構高額みたいです…)休耕地を持っているだけで経費がかさんでいくばかりなので、管理してくれる人がいないか常に探しているような状態です。

レンゲ畑を作るとなれば、お金を払ってでも借りてくれという方が結構いらっしゃるはずなので、直接交渉したり、各市町村へ問い合わせてみると意外に簡単に借りることが出来ることがあります。

周りの雑草は抜いておいた方がいい?

レンゲ畑をつくる場合は、基本的に他の雑草は抜いておいた方がベストです。

他の雑草があると、せっかくレンゲ畑をつくっても景観が悪くなってしまいますし、何よりレンゲの発芽率低下を招く恐れがあります。

休耕地に根付きやすく、他の植物の成長を妨げてしまう「セイタカアワダチソウ」や「」はしっかりと根絶やしにしておくのがおすすめです。

田んぼをレンゲ畑にする際の注意点

レンゲは痩せた土でも育つ植物ですし、雑草に近い育てやすい植物になるので、雑草が生える様な土地であれば問題なく育てることが可能です。

上記で記述した様に屈強な雑草が生息していると、発芽しなかったり成長しにくくなってしまうので、葛など駆除が凄く大変な植物が生息している土地は見送った方が懸命かもしれません。

葛を駆除した時の奮闘記を以下の記事で紹介しているので、以下の記事の様な葛の駆除を頑張れる方ならどんな田んぼでも大丈夫です。

>> 最強の雑草である葛(クズ)を除草剤不使用で駆除する方法 <<

レンゲ畑作り手順 ② 草刈り

田んぼをレンゲ畑にする場合は休耕地からスタートすることが多いですが、どれくらいの期間休耕地だったかによって、草刈りの手順が変わります。

下記画像は40年間休耕地だった田んぼを畦道から撮影した画像で、平均2メートルのセイタカアワダチソウが所狭しと生息しています。

下記画像は、上記画像を一旦草刈りをして2カ月後の画像です。草刈りをしても、たった2カ月で膝から腰の辺りまでの雑草が生えてきます。

自然の雑草の生命力と成長力は凄いので、ただ草を刈るだけでは後から後から生えてきますので、一旦草を刈ったら早めに手順 ③ へと移行しましょう。

レンゲ畑作り手順 ③ 耕す

レンゲ畑を作る時は耕した方がいい?

レンゲは雑草とはいえ自然に抗って意図的に発芽させようとするので、ある程度手間をかけてやることが大切です。

種を撒いた後に鎮圧することを考えると耕していた方が圧倒的にやりやすいので、その観点からいっても耕していた方がおすすめです。

休耕期間が長い土地で雑草の繁殖が凄い時は必ず耕す

レンゲの様なマメ科の雑草が繁殖していればいいですが、セイタカアワダチソウや葛などの最強クラスの雑草が繁殖している場合は草刈りをしても雑草の成長が凄すぎるので「レンゲが発芽しない。」「成長しない。」などの可能性がでてきます。

そういったことを回避するには、草を刈って早い段階に耕運機などで根こそぎ土を掘り返すイメージで耕していきます。

しっかりと耕すことで最強クラスの雑草の駆除になり、生態系もいっきに変わりやすくなります。

草刈り機である程度草を刈って1日~2日置いてから下記動画の様に耕運機をかけるのがおすすめです。

レンゲ畑作り手順 ④ 種まき

レンゲの種を撒く時期は?

地域によって多少異なりますが、レンゲの種を撒く時期は大体10月中旬前後で、理想は種まきをした1日~2日後に雨が降りそうなタイミングを見計らって種を撒くと発芽率がグンとあがります。

種の撒き方

レンゲの種を撒くには、まずレンゲの種を準備しないといけませんが、今回は山陽種苗さんから種を購入しました。

>> 山陽種苗のサイトはこちら <<

一般的な田んぼ1枚分の広さは一反(約1000平米)で、発芽率を考えると一反の田んぼ一面をレンゲ畑にしたい場合は約16kgのレンゲの種が必要になります。

種を撒く時は取っ手のある鍋があると便利です。あとはまばらになる様にパラパラと撒いていきましょう。(以下動画参照)

レンゲ畑作り手順 ⑤ 鎮圧

レンゲの発芽率を高めるために重要なのが “ 鎮圧 ” で、種を撒いた後にドラム缶等を転がして種を土の中に鎮圧させていきます。

土の状態にもよりますが、ドラム缶では鎮圧の圧が弱すぎる場合があるので、ドラム缶を抑えるような感じで圧をかけながら鎮圧していきましょう。

ドラム缶などを使わずに足で踏んで鎮圧させるのでも大丈夫ですが、一反の土地ともなると相当大変なので、効率的な方法で鎮圧するのがおすすめです。

レンゲ畑作り手順 ⑥ 水やり

レンゲの発芽率を高めるためのポイントは上記鎮圧が大切ですが “ ” も非常に重要です。

山陽種苗の担当者の方が「発芽率の鍵は水です!」と高らかに宣言されていたくらいなので、本当に水が重要な感じがしています!

10月19日に種まきをした後に、天気予報チェックしてないことに気づき週間天気予報を確認したら…

なんと見事にずっと晴れマーク…

「雨乞いをしてみようか。」など迷走を繰り返し途方にくれていると、田んぼの目の前の民家の方がたまたま帰って来られて少し話をしていたら「井戸水を引いてて長いホースもあるからどんどん使っていいよ。」という神の様なお言葉をいただきました。

日本の水道水は塩素濃度がアメリカの10倍以上で、よからぬものが入っているとの情報もあるので水道水だったらお断りしようかと思っていたのですが、井戸水なら安心なのでWの奇跡でWの喜びとなり、たっぷりとレンゲ畑に水を撒かせていただきました。

私たちは雨の情報をちゃんと調べずに種まきをしてしまいましたが、天気予報を確認して雨が降る前の種まきが1番おすすめなので、是非天気予報をチェックしてからの種まきを心がけてください。

肥料について

大きく別けるとレンゲは雑草に分類されて、他の雑草と同様にレンゲに肥料は必要ありません。

まったく雑草が生えてない土壌であれば、肥料的なものも必要になってくる場合もありますが、他の雑草が生えている様な土壌であれば、そもそも植物が育つ力がある土壌なのでレンゲは十分育っていきます。

もちろん栄養素が高い方がレンゲの発芽率はよくなるので、何度が草刈りをして刈った草をそのまま放置して腐葉土の様な感じにした後に耕すと効率良く発芽してくれます。

水やりについて

上記でも述べているように、レンゲの水やりで最も大切なのは種まきをして発芽する時で、発芽後はそこまで気を遣わず、雨に任せるというスタンスで大丈夫です。

ただ、雨の少ない地域であったり、水はけが良すぎて水分をあまり保有していない土壌の場合、レンゲが育ちにくい可能性もあり、その様な場合は適度に水やりをしましょう。

レンゲは越年草なので、冬の寒い時期の水やりに関しては、夕方以降に水やりをすると土の中が凍ってしまい、レンゲの根を痛める可能性があるので、午前中や昼くらいに水やりを行うようにしてください。

レンゲに被害を及ぼす害虫

ミツバチなどの養蜂をしてない限りはそこまで害虫を気にする必要はありませんが、レンゲに関する害虫には「アルファルファタコゾウムシ」「アブラムシ」などがあります。

アルファルファタコゾウムシ

アルファルファタコゾウムシはヨーロッパ原産のマメ科牧草の害虫で、日本では広範囲の甚大な被害はそこまで発生していませんが、沖縄県や岐阜県で被害が確認されています。

アルファルファタコゾウムシは11月に餌を求めて水田に侵入しているので、そのタイミングでレンゲが発芽していなければ、増殖しにくい状態をつくれます。

ですので、10月中旬前後に種まきをするところを少し種まき期間をずらして、11月上旬くらいに種まきをすると被害を縮小することが期待できます。

アブラムシ

アブラムシもレンゲにとっては害虫になりますが、アルファルファタコゾウムシ程の被害はでないので、基本的には気にしなくても大丈夫な害虫になります。

むしろアブラムシが発生していることで、アブラムシを好物にしているテントウムシがたくさん集まってくれる可能性もあり、レンゲ畑とテントウムシのコラボレーションがみれて、景観としては最高なものが出来る可能性があるので、あまり深刻に考えずに見守っていくことをおすすめします。

まとめ

むら ” では、今回初めてのレンゲ畑づくりのチャレンジをしました。ミツバチの養蜂家でもない私たちのレンゲ畑づくりの目的は「緑肥」と「景観」で、昔の様にレンゲ畑を眺めたいね。というところからスタートしています。

田んぼの周りのご近所さんも「人生が楽しくなりそう!」と、本当に喜ばれていて、凄く価値のあることをしているなぁと、つくづく感じています。

春になれば田んぼ一面レンゲ畑になっているはずなので、またどんなレンゲ畑ができたかをご報告出来るのを楽しみにしています。

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n+編集長

やまだ

ライター

山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。