自然農法の肥えた土作りに必要な微生物の育て方

各自然農法家の定義にもよりますが、自然農法は「無農薬」「無肥料」「不耕作」により、野菜などの農産物を育てていきます。

日本の耕地面積の99%以上を占める一般農法が常識になっている日本では、肥料がないのに野菜が育つはずがないということが最早常識になっていますが、無肥料で野菜を育てるポイントは になります。

肥料を使わない自然農法で野菜を育てていくには、土作りが何よりも大切なポイントになるので、今回は、自然農法的土作りの方法と、成功のポイントを解説していきます。

土の良し悪しはどこで決まるのか

自然農法 土づくり 先生解説

自然農法の文献やネットでの情報を読んでいると「肥えた土」「良い土」などの言葉をよくみますが、良い土を端的にいうと…

「微生物の種類と数が多い土が良い土」

ということになります。微生物が多いとなぜ良い土になるのかというと、微生物を中心とした様々な生物の活動によって、農作物が育つために必要な栄養分が作りだされ、それが肥料の役割をするからです。

微生物が多い土 = 栄養豊富な土 = 肥えた土・良い土

という公式が成り立つので、良い土を作るには、微生物を増やすことが重要です。

良い土を作るための第一歩は微生物を知ること

自然農法 地中の菌

土の中の微生物を増やせば、良い土が作れることが解りました。ということは、単純に土の中の微生物を増やせばいいのですが、まずは微生物について知ることから始めましょう。

微生物と聞くと凄く小さな生物なんだろうと、ある程度の想像はつきますが、端的にいうと “菌” のことで、農作物を育てていく為に必要な菌(微生物)は、糸状菌(しじょうきん)放線菌(ほうせんきん)細菌(さいきん)藻類(もるい)などになります。

これらの微生物もれっきとした生き物なので、動物や人間と一緒で、自分にとって心地いい環境を好み、心地いい環境であれば元気で活発で、繁殖もしやすくなります。

微生物は好む心地いい環境というは…

  • 空気がきれい 呼吸しやすい土の環境かつ新鮮な空気がある
  •  日差しがきつすぎない
  • 適温 微生物が好む温度は20度から40度くらい
  •  農作物の根から土に排出される生成物が豊富
  • 有機物 微生物が好む虫の排泄物や死骸や枯れ葉や枯れ草などが豊富
  • 捕食 微生物同士の捕食、食物連鎖を活性

になります。これらの環境を整えてあげることで、微生物は増えていきやすくなります。

自然農法の土作りでは、微生物も犬や猫などのペットと同じ生き物なので、ペットを飼っている飼い主さんが、ペットの気持ちになって、餌をあげたり散歩したりするのと同じで、微生物の気持ちになって、微生物が好む(喜ぶ)環境をつくってあげることが大切ーです。

一般農法に慣れている現代社会では非常識な考え方ですが、微生物に対してのシンパシーを高めることによって(この辺りが自然農法はスピリチュアルであるという所以の1つです。)微生物が増えるということを念頭に置いて、土作りを行っていくことを意識していきましょう。

微生物を増やして良い土を作る方法

自然農法の始め方 種おろし

良い土を作るためには、微生物に寄り添って微生物を増やしていくことが大切だということが解りましたが、実際に行っていくことを方法論をご紹介していきます。

畝立てをする

畑を見渡すと必ず存在する “畝” ですが、一般的に畝は、水はけをよくしたり、農産物を栽培する場所と通路を区別する役割だといわれています。

表向きは間違いなくそうなのですが、自然農法的にいうと、循環を生むために重要なものとなります。

地形でみると解りやすいのですが、山間や谷間など地形が隆起している場所と、ただの平地では風の流れや水の流れがあきらかに違って、地形が隆起している場所の方が、風の水の流れが大きく、その為に色々なモノが循環しやすい環境になっています。

この循環にのって、微生物の循環も一緒に起きて、微生物同士の捕食などが活性化し、土が肥えていくという現象が起きます。

水はけをよくする

微生物も生き物なので呼吸をしますが、地球上で最も呼吸ができない場所の1つが水の中で、水はけの悪い畑は土も水びだしになり、微生物が呼吸出来なくなってしまいます。

溝や点穴などを掘って、水が循環する状態をつくり、水はけをよくしていきましょう。水が流れる様になると、その場所に風も起こり、風の循環も起こります。

新鮮な空気を好む微生物にとっては、風の循環も起きる水の循環が、良い環境の基準の1つになっています。

植物の根っこが大切

雑草でもなんでもいいのですが、微生物を増やすには根っこが大切です。

自然農法で草刈りをする場合は、あえて根っこを残して刈っていくのですが、根っこを残すことによって、土と根っこの間に空洞がうまれ、空気が地中まで届きやすくなります。

そうすると、好気性微生物(空気を好む微生物)が地中の奥までいきやすくなり、好気性微生物を好んで捕食する、嫌気性(空気を好まない微生物)が根っこの周りに集まって捕食し、微生物が活性化して新たな循環が生まれます。

雑草以外で土作りのために種を撒く時は、大麦がおすすめで、成長力が高く、根っこが広く表面積が大きいので、微生物の数が増えやすかったり、土のバランスがよくなるという特性を持った植物になります!

畑の周りにある有機物を活用する

微生物は有機物を分解して栄養としていくので、土作りには有機物を活用すると効率があがります。

ただ、その場所に適していない有機物を使いすぎると、微生物にとっては居心地よい場所ではなくなるので、畑の周りに生えている雑草を刈ったモノを使ったり、畑周辺に落ちている枯れ葉などを活用するとうまくいことが多いです。

刈った枯れ草を放置しているだけでも、微生物が活性化して勝手に土が出来ていくこともあるので、畑の周りの草はすごく貴重なものだという感覚を持ちましょう。

余計ないことをし過ぎない

自然農法は、農薬や肥料などの人工物は使わないのは当たり前ですが、自然の力で出来るようなものも極力投入し過ぎないことが大切です。

よく、炭や米ぬかを投入すると成長が増すということがありますが、この様なことをし過ぎると、土壌の微生物のサイクルが狂ってしまい、あとでリスクを追う可能性があります。

自然農法では、あくまでも、その土地その畑の微生物のサイクルをうまく循環させていくことが大切なので、いくらいいものであっても、あまり余計なことをし過ぎず、土壌の循環サイクルを待った方がいいことが多いです。

自然農法の初心者向け土づくりの方法

自然農法 土づくり

自然農法は農薬や肥料を使わないので、農作物が育つ様に微生物が増えるまで多少時間がかかるため、初心者方は途中で心が折れる可能性がありますので、ここと決めた場所で畝を立てて、土壌の状態をみて循環を促し微生物を増やしながら、サブ的に別の場所で土づくりをするのがおすすめです。

完璧な自然農法を目指す場合は、その場所にあるものだけで、土を作っていくことが大切ですが、サブ的な感じであれば、その場所に生息してなかったものを活用するのも有りかなと思います。

草刈りをした後の雑草を土の上に置いておくだけでもいいですし、藁やバークを盛って置いておくだけでも良い土が作れます。

私達の畑では以下の様に、サブ的に土作りをしているので、良かったら参考にしてみてください。

まとめ

自然農法 土づくり 雑草

自然農法をする上で、土作りは必要不可欠なものです。

土作りを行う上で、もっともシンプルに大切なことは「微生物を増やす」これに尽きます。

土壌や環境や天候によって、微生物はどんどん変化していくので、土壌の状態や場の雰囲気を感じることが大切ですが、自然農法にのめり込んでいくと、徐々に身についていくスキルなので、しっかり畑と向き合って長期的に取り組んでいくことが、実は自然農法の土作りの1番の近道かもしれません。

土作りは、劇的な変化が起こるモノではないので、こつこつと頑張っていきましょう。

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n+編集長

やまだ

ライター

山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。