n+編集長
やまだ
ライター
山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。
駆除が厄介な雑草は、スギナ・ドクダミ・カタバミなどが有名ですが、個人的には断トツ最強な雑草は タイトルにも掲げている “ 葛(クズ)”で、欧米ではグリーンモンスターと呼ばれているくらいの代物です。
大掛かりな草刈りや雑草駆除をした方ならご存知かと思いますが、大量のつると繊維質でかつ太くて広範囲に張り巡らされた地下茎が非常に厄介で、色んな道具を揃えたとしても早々簡単に太刀打ち出来るものではありません。
私達が手がける「むら」では、40年間放置された五反の広さの葛まみれの開墾に奮闘しましたが、その中でみえてきた効率的な葛の駆除方法をお伝えしていきます。
私達は自然農法畑を運営しているので、除草剤や除草シートなどは使用しない駆除方法を用いています。除草剤や除草シートなどの駆除方法をお探しの場合は別サイトを見ていただくと良いかと思います!
目次
葛は蔓や地下茎などの屈強さもさることながら、その繁殖力も強力で、林業総合センターでも周知されていますが、葛が造林地に侵入すると造林木は衰弱枯死するといわれています。
木でも勝てないくらいなので休耕地を畑に戻す場合は、葛を駆除しておかないと農作物の成長に必要な栄養素を葛に奪われてしまいますし、空き地などの場合であってもフェンスや外壁など色んなモノに蔓が絡んでくるので放置していると非常に厄介な雑草で、早めの駆除が何よりも大切です。
葛を駆除する前に簡単に葛の正体をみていきましょう。
葛はつる性の多年草でマメ科にに属しており、4月から10月に地下茎(見た目は完全に根っこです。)を張りぐらせて芽吹いていきます。
木やフェンスなど至る所に蔓を張り巡らせ、地面を這う蔓は10メートル以上伸びていきますし、地下茎は直径50cm位まで成長するモノもあります。
葛は繁殖力がとても強く、葛が生息した土地は他の植物が壊滅的な状況に陥ってしまうばかりか、電線などに撒きつき、断線や停電の被害などのインフラにも影響を与えてしまいます。
アメリカでは九州と同じくらいの面積が葛の被害にあっており「緑の砂漠」と呼ばれ、経済被害としては年間500億円ともいわれています。
吉野本葛が有名ですが、大豆で有名なイソフラボンや、高麗人参で有名なサポニンなどが豊富に含まれた立派な栄養食になります。
もっとも有名なのは風邪薬の「葛根湯」でしょうか。
葛は葛根という薬にも活用されているほど身体には良いモノとされていますし、栄養豊富な観点から家畜の餌としても重宝されています。
葛は他の雑草と同じく梅雨明け頃がもっとも旺盛に成長していき、地上を這う蔓に関しては梅雨明け頃が最大で1日80cmも伸びるといわれ、林・畑・樹園・空地・河川沿いなどの環境で繁殖しやすくなっています。
葛のもっとも厄介なのが、植物は基本的に種で繁殖していくのに対して、節で繁殖していくということです。
根から発生する茎の節からクローンを再生していく感じで繁殖していく上に、刈払った節から根が生えて、バラバラに飛び散った節が新しい株をつくりあげていってしまい、葛に対する知識が浅い場合の生半可な知識で草刈りをしてしまった場合がもっとも厄介な発生条件といえます。
葛は地面を這うように蔓を伸ばして他の雑草に覆いかぶさったり木などに絡みつくなどしますが、地中でも広範囲に地下茎を張り巡らせていきます。
図の方が解りやすいので、以下の生態図をご覧ください。
葛の駆除方法としては…
の3つが基本でが、ネット情報ではとにかく「除草剤」の宣伝ばかり目立ちます。
農作物を育てない様な空地などであれば、多少費用はかかりますが防草シートがてっとり早くいいいかもしれませんが、防草シートは光りを遮断し日光がほとんどあたらない状態になるので、土が痩せていき、葛を根絶出来たとしても、その後そこで農作物を育てる状態に戻すまでに長い月日を要してしまうので、自然農法や有機農法をする場合は特に「根こそぎ刈る」をおすすめします。
経験したからこそ解るのですが、葛は根こそぎ刈るのが体力的にも手間的にも本当に大変で、相当な気合をいれないと容易に出来ることではありません。
だからこそネットでも除草剤の文字がたくさん並んでいるのですが、除草剤がどうなのかと問われると、私は即答でやめた方がいいとアドバイスします。その理由は以下になります。
日本ではあまり周知されていませんが、世界では除草剤の健康被害が大きく取り上げられたり、訴訟の対象になって、除草剤販売側が当たり前の様に立て続けに敗訴しているのが現状です。
一般的なネットの情報では以下の様な記事がありますので、参考にしてみてください。
>> Think and Grow Ricci 「ラウンドアップの損害訴訟について」 <<
>> 長周新聞 「世界中が禁止するラウンドアップ 余剰分が日本市場で溢れかえる 」<<
カラダに有害なことが解っていても当たり前の様に販売する体制。
国が認可しているものだから大丈夫だと当たり前の様に使用する消費者。
数年後には日本人の2人に1人が癌になる時代だと言われている日本。
除草剤だけに留まらず、残念ながら日本の現実はこんなにも酷い実情なのです・・・
日本で販売されている除草剤の成分で「グリホサート」「パラコート」「グルホシネート」が、特に毒性が高いとされていますが、それぞれの毒性をみていきましょう。
グリホサートはベトナム戦争で米軍が農村などに散布し、ベトちゃんドクちゃんの様な奇形児をうみだしたことで有名な枯葉剤と同様の成分で、主な毒性としては以下の様なものがあります。
ヒトへの影響で報告されている疾患や異常には以下の様なものがあります。
グリホサートは農薬製剤の中でも桁違いな高毒性があるとされており、環境脳神経科学情報センターでも「除草剤グリホサートの毒性」という記事で詳しく紹介されています。
>>環境脳神経科学情報センター「グリホサート」に関する記事はこちら<<
パラコートといえば、1985年に日本各地で連続発生した無差別毒殺事件で、除草剤のパラコートを飲料に混入し、13人の方が亡くなった事件が有名です。
あまりにも毒性が高いため現在は単独原体としての生産は中止(1978年に毒物指定にされた。)されていますが、混合剤として未だに販売されており、農薬中毒死者の4割を占めています。
誤飲すると必ず致死すると言われれる除草剤ですが、ヒトへの影響で報告されている疾患や異常には以下の様なものがあります。
グルホシネートは、前述したグリホサートよりも毒性が高く、2018年にはEUで登録が抹消されている程問題視されている除草剤ですが、日本では未だに使用されています。
農薬評価でもグルホシネートの毒性が非常に高いことが証明されており、ラットの実験でも腎臓や脳に深刻な影響がでているとされているにも関わらず、ネット上にはほとんど疾患や異常に関する情報が掲載されておらず、ベールに包まれながらも非常に危険な除草剤といわざるを得ない除草剤といえます。
「除草剤の毒性」「除草剤の危険性」(リンク先google検索結果)を検索にかけると、たくさんの情報がでてきます。
マスクをつけずに散布した方が1カ月後に死亡したり、除草剤タンクの液漏れが皮膚に付着し続けて経皮吸収してしまい、身体機能に重大に問題を引き起こしてしまっている方も少なくありません。
葛の駆除で除草剤使用を調べられている方は、除草などに関しての専門家でない可能性が高く、その様な方が安易に危険性の非常に高い除草剤を使用することは危険なことです。
しかもこれらの除草剤はその成分がなかなか分解されず、どこかのタイミングで微量ながらに体内に入ることが確認されており、散布すると自身だけでなく周りの方にも健康被害をもたらしてしまうものです。
その様なものを国が認可しているからという理由だけで平然と使用することは、狂気の沙汰多としか言いようがないレベルです。
除草剤をNGと考える根拠は、何よりも除草剤の毒性の高さです。ヒトを含む全ての生物に有害なものは使わないに越したことがないという、当たり前且つシンプルな根拠です。
ここまで除草剤の有毒性を散々述べてきましたので除草剤使用を控えようとされる方は多いと思いますが、実際のところ除草剤や防除シートを使わずに葛を駆除するのは本当に大変です。
葛の駆除では色んな失敗もしてきましたが、その失敗の上でベストの方法を編みだしたのでそちらをご紹介していきます。
葛の駆除で大切なのは「腰と心が折れないようにする。」ことです。
蔓は切れにくく長く、葛の地下茎は太く長く四方八方に広範囲に張り巡らされていて、先のみえない格闘が延々と続きます。
もっとも厄介なのは、他の雑草駆除に大活躍してくれる、草刈り機(最も出力の高い草刈り機でも蔓や地下茎が絡まりついて機能しません。)も葛の前では歯が立ちません。
長い期間色んな道具や方法を駆使して効率的に葛を撃退する方法を編みだした4段構えの葛撃退法(広範囲バージョン)をご紹介していきますので、アレンジ等のうえ参考にしてみてください。
葛を駆除する時の最初の障壁は「蔓」です。
ある程度成長した葛の蔓は繊維も含まれているため切れにくく、自走式の草刈り機で伐採しようとすると、草刈り機の刃に蔓が絡まって出力オーバーでエンジンが停止してしまいます。
まだ成長途上の葛は自走式の草刈り機で一気に伐採すると楽です。以下くらいの葛であれば自走式草刈り機で刈ることが出来ます。
以下のように大きく成長してしまった葛は肩掛け草刈り機をつかって伐採していきましょう。
下図が肩掛け草刈り機で伐採して3時間後の蔓と葉っぱです。
葉っぱは短時間で枯れたり分解されますが、蔓は分解がすすみにくく、割と長い間残ってしまい第2段階駆除の際に障壁となってしまうので、ある程度かき集めて積み上げておきましょう。(積み上げた部分は天然のマルチ材になり、雑草がはえないばかりか、天然の腐葉土づくりにもなるので一石二鳥です。)
蔓をかき集めるには以下の様な道具を準備すると効率的です。
蔓をある程度駆除した後は以下の様な耕運機で耕していきます。
葛の地下茎は予想を遥かに上回るほどに地中に張り巡らされているので、意外なところにも地下茎が根深く生えています。
手作業だと発見できずにさらなる繁殖になり兼ねないので、耕運機で地下茎を刈りつつ、あえて耕運機の刃で巻き取りつつ耕し、地下茎の発見を促していきます。
耕運機をかけると地下茎が以下の様にあらわになります。
地下茎は耕運機の刃に絡みつくので、ちょこちょこ排除してください。手間になりますが、耕運機が動かなくなるまで排除を怠ると、排除まで相当な時間を要する為、こまめに駆除する方がトータル的に考えるとよっぽど楽です。
地下茎を刃から排除する場合は、以下の様なひっかりが効いて、且つ切り取れるような道具があると便利です。
葛の地下茎には以下の様な根幹の部分があります。
この根幹部分は駆除必須なので、ここを地中から取り除いていきますが、この時に以下の様な平鍬は必須です。
地下茎を掘り起こすイメージで平鍬をいれていきます。その時に根幹部分から四方八方に伸びている地下茎を切っていきます。(第4段の時の労力を減らすために、根幹部分周辺の地下茎はしっかりと切ったり傷つけたりしておきましょう。)
気持ちと肉体労働面での余裕があれば、以下の様に地下茎を引き抜いていきましょう。(第4段階で引き抜く方が断然楽に引き抜けます。)
さらに気持ちの余裕があれば「採ったどー」の記念撮影もしておきましょう。(これくらいの気持ちの余裕があった方がはかどります。)
葛駆除方法第3段が終わったら、2 ~ 3日放置しておきます。
放置することで、地下茎の分解が始まり引き抜いたり掘り起こしたりするのが凄く楽になってくれます。(実はこれが凄いポイントで、これがあるとないとでは体力的にも気持ち的にも随分と楽になります。)
引き抜く時には備中鍬が便利で下図の様な地下茎も割と簡単に引き抜くことが可能です。
ほとんどの地下茎を駆除した土地は下図(茶色の土の部分)の様な感じになります。
今回は以下の様に一面の葛を駆除しました。(駆除後にレンゲの種を撒いています。)
上記一面の葛の地下茎を積み上げたら以下の量になります。
結局かなりの手間と労力がかかりますが、総合的に考えるとこの方法が効率的で心身のダメージも少なく葛を駆除することが可能です!
葛の駆除方法でもっともやってはいけない駆除方法は「その場しのぎの草刈り」です。
葛は種ではなく節で繁殖していき、その場しのぎの草刈りでは節を散乱させ、さらに広範囲に葛が繁殖する恐れが高いので危険です。
草刈りをする場合は気合をいれて、身体のコンディションを整えた上でしっかり根こそぎ根絶することが何より大切です。
私たちの “むら” でも、散乱させることにより広範囲に葛が繁殖して一時期心が折れそうになってしまいましたので、根こそぎ(特に幹となる地下茎)根絶することをおすすめします!
上記で紹介した4段階の駆除方法が確立していない時に直感で色んなことを試してみましたが、もっとも徒労に終わった駆除方法をご紹介しておきますので、ぜひ以下はチャレンジしない様にしてください。
6000坪の雑草地帯を開墾していると、場所によって雑草の種類が違ったり、草刈りをしているうちに生えてくる草が変わるなど、ちょっとしたことで生態系が変わっていきます。
このことを踏まえて、土壌の生態系を変化させて、生えてくるものを変えられれば、葛の繁殖がとまり、駆除しやすい雑草へと変化するのではないかということで、上記で紹介した第3段迄を行った後に、葛と同じマメ科の「ヘアリーベッジ」を試してみることにしました。
コンパニオンプランツ(コンパニオンプランツの記事はこちら)の視点からいくと、植え合わせに同じマメ科の植物を植えることで、相性の悪さを利用して葛が繁殖しにくくなる環境づくりを狙い、緑肥としても期待出来るヘアリーベッジであることから、一石二鳥の効果を期待して胸を躍らせながらヘアリーベッジを撒きました。
これが成功すればかなり画期的な駆除方法になると期待していたのですが、最も大切なことを忘れていました。
葛は最強の雑草
だったことです。最強の雑草なので、そんじょそこらの植物では相手にもならず、ヘアリーベッジが芽をだして成長することなく、逆に葛の成長を助長してしまったのではというくらい、葛がすくすくと成長してしまい、大失敗で幕を閉じてしまいました。
やはり「葛は徹底的に駆除するしか方法がない!」という確信を得るための成功体験にはなりました(笑)
地域や環境によって多少ことなりますが、葛の生育が最も活発なのが、7月下旬から8月上旬と、9月上旬から10月上旬になります。
この時期に駆除をすると、誤って繁殖を助長してしまう危険性や、生育が速すぎて4段階駆除方法も上手くいかない可能性もでてしまいます。
色んなことを加味すると、3月~5月の間にしっかりと駆除するのが適しているといえます。
私たち “むら” では、レンゲ畑をつくるという目的の為に気合をいれて、9月~10月に駆除したので、生育時期でも駆除出来なくはありませんが、かなり大変でした!
葛を生やさない方法でもっとも手っ取り早いのは防草シートで、防草シートをかけたままにしていると葛は生えてきません。
畑などで土地を活用しないといけない場合は、防草シートをずっとかけたままにすることは不可能ですので、その様な場合には「手入れ」をしっかりしてやることです。
毎日気にかけて土地を見て回り、気をかけることにより変化に気づきやすくなりますし、葛が生えてきたばかりなら駆除が格段に楽にできるので、大繁殖はまず起きません。
葛を生やさない魔法はないので、コツコツと見守っていくのが最も効果的な生やさない方法になります。
駆除後の葛はなかなかの量になりますので処理に悩むところです。
処理業者にだすとなかなかの費用がかかりますし、燃やすと法令上引っかかる可能性もありますので、私たちの処理方法を記述しておきます。
上述していますが、葉っぱや蔓は分解されていくので、草マルチとして山積みにしています。
山積みすることによって、日光を遮るので葛を含めた雑草が生えにくくなり、且つ葉っぱや蔓が微生物によってどんどん分解されていくので、腐葉土づくりにもなります。
農業に関しては、自然に出来たものは自然に返してあげるという循環がとても大切なので一石二鳥にも三鳥にもなります。
地下茎は葛根湯などの生薬として使われるくらい栄養たっぷりなので、粉砕すれば素晴らしく栄養価の高い土が出来る可能性があります。
ただ、地下茎の繁殖力は凄まじく、粉砕したとて繁殖するのではないかという一抹の不安もあるので、とりあえず今はそのまま積み上げた状態で放置しています。
開墾作業がひと段落して余裕がでたら粉砕機で粉砕して色々実験してみますので、その経過報告はまたこの記事であげていきます。
今回は葛の駆除方法を掘り下げて解説していきました。
途中の除草剤のくだりでは批判的な意見を多く取り入れていますが、未来の子ども達にどんな未来を残したいかや、現代の皆さんの健康を考えるとどうしても論ぜずにはいられなくなってしまいました。
確かに除草剤を使うと葛の駆除は可能ですが、健康を代償にしたハイリスクハイリターンな代物だということは、ぜひ認識しておいてください。
葛の駆除は本当に大変ですが、しっかりと駆除をして、その後の手入れを怠らなければ上手くつき合っていくことが可能なので、ぜひ自然に適した駆除をしていきましょう。
n+編集長
やまだ
ライター
山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。