n+編集長
やまだ
ライター
山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。
グルテンフリーが世の中で市民権を得ていく中で注目される様になったのが、小麦粉の代用品として注目を浴びている「米粉」ですが、もう1つふつふつと注目されているのが「古代小麦」です。
古代という言葉を聞くと、私の中で1番紐づく言葉が古代エジプト文明という言葉(恐らく幼少時代に観ていたふしぎ発見!の影響です。)なので、凄く昔から小麦は作られてたのか、古代なんて言葉を使ってちょっと大げさにいってるのかな?と最初は思っていたのですが、古代エジプト文明が6000年前だったのに対して、古代小麦の起源は1番古いモノは12000年前だと言われています。
恐れ入りました古代小麦・・・
米の起源が6500年前と言われていますので、米の倍近くの歴史があるってことですね!
今回はグルテンのお陰で随分印象が悪くなった小麦の名誉回復の為にも、現在主流穀物の大先輩ともいえる「古代小麦」について掘り下げていきたいと思います。
2000年前の小麦だったら、遺伝子組換や品種改良の心配はまったくなく体にもなんだかよさそうですね!
目次
古代小麦の種類は大きく別けると3種類とされていて
という小麦になります。1つ1つ詳しくみていきましょう。
アインコーン小麦は古代小麦の中でも、もっとも歴史が古く12000年前から栽培されていたとされる小麦で、全ての小麦の原種とされる小麦になり、品種改良された現代小麦よりも高い抗酸化力や栄養価、小麦特有の高い香りや甘みを楽しめる理想的な穀物だと言われています。
現代小麦と比べた大きな違いは「デンプン構造」「たんぱく質構造」「水溶性たんぱく質」になるでしょう。
アインコーン小麦のデンプン構造は、現代小麦に比べると非常に小さくて、ゆっくり消化され満腹感を持続させる特徴があり、ダイエット時によくでてくる低GI値として分類されます。
現代社会での小麦の評価はグルテン等の影響により、消化が悪いというイメージが根づいていますが、アインコーン小麦はデンプンの構造上でいくと、網―ロース含有率の低さから、一般流通の小麦より遥かに消化がよく、後述するエンマ―小麦やスペクトル小麦よりも消化が良いとされています。
小麦 = グルテン というイメージが定着しているので、小麦という言葉を聞いただけでちょっとひけてしまいますが、アインコーンのグルテン含有率は4%で、現代小麦が14%~20%というのをみるとアインコーンのグルテンは現代小麦に比べるとだいぶ安心感があるばかりか、たんぱく質構造もアミノ酸構造自体がソフトになっているため、セリアック病や小麦アレルギーをもっていない限りは安心して食べることが出来ます。
グルテンについてこちらの記事を書いていますのでよろしければご覧ください。
>>食べていい?避けた方がいい?グルテンフリー食品&食材を一覧でご紹介<<
アインコーン小麦は、現代小麦よりもグリアジンという水溶性たんぱく質の比率が2倍ほど高いので、消化しにくい非水溶性たんぱく質の含有率が高い現代小麦よりも、消化しやすい小麦といえます。
スペルト小麦は、9000年から10000年前にヨーロッパで栽培されていることが証明されたので、アインコーン小麦の次に古い品種の小麦になります。
現代小麦や他の古代小麦に比べると、セリアック病などの原因となるグルテンの中でも、グリアジンというアミノ酸の含有量が少なく、小麦アレルギーを持っている人が食しても、85%~90%の人々は何の問題もなかったというデータもあります。
普通小麦と比べると、リジン・スレオニン・メチオニンなどの必須アミノ酸を含んでいたり、ポロフェノール含有量が多く抗酸化作用が高いと言われている。
古代小麦の人気がでてきてから、古代小麦でパンを焼く人が増えてきましたが、古代小麦の中でもスペルト小麦を活用する人が多いことが大きな特徴です。
エンマ―小麦はヒトツブ小麦と野草が自然交配して生まれたもので、多少歴史が曖昧ですが数千年前から生息や栽培がされているようです。(恐らく3000年~4000年前だと推測されます。)
現代小麦に比べると、食物繊維・ミネラル・ビタミン・抗酸化物質などが豊富で、アインコーン小麦よりも少々劣りますが、低グルテンで消化しやすい小麦になります。
古代ローマで食されていたのが有名で「エンマ―小麦を食べると医者いらず」という格言も残っていることから、栄養価が非常に高いことが伺えます。
麺類にするとあまり美味しくないという噂もありますが、エネルギーの高い野草と自然交配し、且つ繁殖力があることから、健康的な観点からいくと、個人的にすごく魅力的な感じがあります。
現代小麦と比べた構造上の違いは、上記のアインコーン小麦と類似しているので、上記を参照にしてください。
古代小麦は大きく別けて3種類あることを上述しましたが、日本ではスペルト小麦が古代小麦の代名詞になるくらい有名で、実際にいろいろと調べても、アインコーン小麦やエンマ―小麦に比べて、スペルト小麦の情報は巷にたくさんありました。
古代小麦 = スペルト小麦 という図式が出来上がっていて、市場流通も多いので、古代小麦の代表格としてスペルト小麦のあれこれをみていきましょう。
スペルト小麦は普通の小麦粉と同じ使われ方をしており、薄力粉から中力粉くらいまでの現代小麦粉と同様の使われ方が主流で、パン・ピザ・ニョッキ・パスタ・うどんなど、多様な使い方が可能になっています。
スペルト小麦や古代小麦という言葉は、まだ一般的に広まってはおらず、認知している人たちは自ら色々と調べている方たちになり、その流れでスペルト小麦を使い始める方が多く以下の様な方々になります。
スペルト小麦は小麦の代用として色んな料理で使われています。製菓・主食・その他に分類してまとめていますので、以下を参照ください。
種類 | 料理名 |
---|---|
製菓類 | アップルパイ |
カヌレ | |
キャロットケーキ | |
クッキー | |
クラッカー | |
ケークサレ | |
タルト | |
チョコブラウニー | |
パウンドケーキ | |
ビスケット | |
マフィン | |
ミニケーキ | |
ワッフル | |
主食類 | 田舎パン |
角食パン | |
ガレット | |
カンパーニュ | |
コッペパン | |
シナモンロール | |
スコーン | |
スティックパン | |
スペルト小麦ナン | |
バケット | |
バナナブレッド | |
フォカッチャ | |
フロマージュ | |
ベーグル | |
蒸しパン | |
焼き餅 | |
レーズンパン | |
ロールパン | |
その他 | エビフライ |
カリカリサラダ | |
グラタン | |
すいとん | |
スペルト小麦うどん | |
スペルト小麦ご飯 | |
スペルト小麦サラダ | |
スペルト小麦酢の物 | |
スペルト小麦ピザ | |
中華まん | |
菜の花サラダ | |
南瓜スープ | |
ニョッキ | |
パスタ | |
ハンバーグ | |
ブラウンシチュー | |
ペンネパスタ | |
マリネサラダ | |
ミートボール | |
ミネストローネ | |
リゾット |
古代小麦と現代小麦の構造上の違いは先にお伝えしましたが、それ以外の観点からの違いをみていきましょう。
古代小麦に変わって現代小麦の需要と供給が劇的に交替したのは、1960年代に起きたいわゆる「緑の革命」が発端です。
緑の革命:1960年代にアメリカなどの先進国の農業研究所で収穫量の多い穀物を中心に、多収穫のために品種改良された種子が大量導入されたもので、従来の収穫量の2倍に増加出来る反面、大量の肥料と農薬の散布が必要なものとなり、表向きは食糧生産量を増やして飢餓などを減らす目的とあるが、ロックフェラー・フォード財団が深く関与していることから、利権的な側面を有するともいわれている。
緑の革命によって、災害や害虫に強い大量生産が可能な小麦となり、飢餓から救われた命は数億人もいると言われているので、これが真実なら素晴らしい功績ですが、その代償は健康面に現れることになります。
品種改良といわれると、そんなに危険視しない風潮にありますが、遺伝子組換と近からず遠からずで、人工的に手を加えたことに変わりがありません。(緑の革命は遺伝子組換ではなく、品種改良とうたっていますが、人工的に手を加えて不自然なものをつくりあげたものになります。)
古代小麦と現代小麦の1番の違いは、この品種改良という名の遺伝子組換によって、グルテンの含有量が劇的に増えてしまったことで、アレルギーや腸の疾患、中毒性が劇的に増えたのも、現代小麦が出現した以降になります。
グルテンについての詳細はこちら >> 食べていい?避けた方がいい??グルテンフリー
グルテン以外では、現代小麦はアミノペクチンAというでんぷん質を多く含み、血糖値を急上昇させます。
血糖値の急上昇レベルは白砂糖をも上回るともいわれており、現代小麦を食べ続けることによって以下のような影響があると言われています。
など、様々な弊害を引き起こすと言われています。
何かを得るためには何かを失ってしまいますが、緑の革命によって現代小麦の出現により、食料供給の安定を得た代償で健康を失ってしまいましたね!
人工的に品種改良したことによりグルテンなどの健康被害をもたらすリスクは上述しましたが、それ以外で心配なことは農薬についてです。
小麦だけに限らず、遺伝子組換や品種改良をおこなった植物は自然と共存しにくい不自然なものになってしまいます。
簡単にいうと小麦自体が弱くなってしまっています。
古代小麦や固定種や在来種の種子はこれまで、植物として長い年月をかけて自然環境に順応してきたものですが、これを人間の都合で人工的な手を加えてしまうと、自然に順応出来ずになってしまうことは想像に易しいかと思います。
この様に弱くなってしまった小麦は、害虫や疫病の被害を受けやすく、それを防ぐために農薬や肥料が必要になってきます。
私達の農場「むら」でも品種改良された野菜を無肥料・無農薬で試験的に育てていますが、どうしても虫に食われてしまったり、病気などで育たないということが多くあります。
品種改良された現代小麦を農薬と肥料のサポートで安定的に生産出来るようになったことは、すごい成果といえますが、肥料をつかうことで硝酸態窒素の含有率が高くなることも解っていますし( 硝酸態窒素の危険性はこちら >> F1種の野菜は溶ける!? その真意を検証!)農薬がカラダに良くないことは皆さん十分ご存知だと思いますので割愛します。
古代小麦は強い植物なので、農薬や肥料がなくても十分育ちますが、現代小麦は弱い植物で農薬や肥料がないとうまく成長しませんので、古代小麦は自然のもので、現代小麦は科学的で不自然なものという表現で違いを表すのがいいかもしれませんね。
現代小麦と比較して、古代小麦(アインコーン小麦・スペルト小麦・エンマ―小麦)のいいところをみていきましょう。
味については個人の味覚差や好みによって賛否両論あるところなので好き好きはありますが、古代小麦の味の特徴は以下になります。
現代小麦に慣れてしまっていると、小麦としての違和感がでますが、個性のある風味や甘い香り、植物そのものの濃い味をしっかりと味わいたい場合は美味しく感じるはずです。
パンや麺類などにした場合は、モチモチ感を求める人の場合は物足りなさを感じるかもしれません。
栄養については各種古代小麦の特徴でも触れているので、まとめになりますが、現代小麦と比べた場合の古代小麦の栄養は
などがバランスよく含まれていることにより
などの効果が期待出来ます。
現代小麦はグルテン含有量が高く、農薬や肥料をつかっていることなどから、免疫の互換作用によってアレルギーを引き起こしますが、古代小麦はグルテン含有量が低く、且つ無農薬・無肥料のモノが多いので、小麦アレルギーを持っている人が古代小麦を摂取しても、アレルギー症状を引き起こす可能性が80%~90%軽減するといわれています。
古代小麦はアレルギーを引き起こさないということではないので、医師に相談するなど慎重に摂取することが必要ですが、現代小麦に比べるとアレルギーについては一定の安心感があります。
古代小麦ニーズの高まりから、生産者や販売元が増えているのは確かですが、まだまだ供給市場が少ないことから通販ショップも他の市場に比べるとまだまだ希薄です。
残念なことに、古代小麦に関しても生産供給量を増やすために、農薬や肥料や除草剤を使っている古代小麦が出回っています。そんな中で、無農薬・無肥料など健康や自然に精通している通販ショップを紹介していきますので、古代小麦を購入する際の1つの参考にしてみてください。
素材舎のキャッチフレーズが「健康を大切にしているあなたへ」であることだけで、一定の安心感がありますが、食材プロデューサーが安心安全のものを探す中で国産のスペルト小麦に出会い、地方を小麦で元気にしたい!という意気込みで各種健康的な穀物を販売されています。
通販サイトはこちら >> 素材舎 sozaiya
古代小麦のオーガニックベーカリーさんで、パン屋さんである前に農家さんでもあり、スペルト小麦の生産から薪窯で焼くまでの行程をすべて一貫して行われています。
もちろん生産には農薬・肥料・除草剤は不使用で、パンの製造工程に関しては、石臼と薪窯という昔ながらの製法でつくられている拘りようです。
通販サイトはこちら >> GREEN SUNLIGHT BAKERY
長野県産のオーガニックスペルト小麦、天日海塩、熊野の水などを使用してつくられたパンになります。水にまでこだわられているのでキャッチフレーズの「心とからだにしみることを実感できるパン」というのにも納得です。
販売は限定本数になるため、度々販売休止になりますが、巡り合えたらラッキーくらいの感じで購入トライしてみてください。
通販サイトはこちら >> むぎとし
古代小麦について色々とご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
現代小麦は世界の飢餓を救ったという実績もあり、安定食料供給の面からみると評価出来ますが、やはり健康志向の面からみると評価し難いものになります。
やはり私の価値観では、古代小麦などの在来種・古代種といわれる種子から出来た植物の方が好きで、自然そのものをいただけるそんな穀物や野菜を食して生きていきたいと考えています。
ただ、何を選ぶかはその人次第ですので強要するものではありませんので、皆さんも色んな情報や知識を得た上でご自身で価値観にあったものを選んで頂ければと思います。
n+編集長
やまだ
ライター
山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。