F1種の野菜は溶ける!?その真意を検証!

農業をしている方や、これから農業を始めようとする方達の話の中に「F1種の野菜は溶ける」ということを口にする方がいらっしゃいます。

F1種の野菜が溶けるということはどういうことなのでしょう。いっけんイメージもつきにくいこの言葉ですが、今回はその言葉の意味真意を検証していきたいと思います。

そもそもF1種とはどんなモノ?

F1種の野菜はどんなもの?

農業や家庭菜園など野菜づくりに精通している方なら1度は聞いたことがあるかもしれませんが、まずはF1種というものがどんなモノなのかをおさらいしておきましょう。

F1種の言葉の意味

スーパーやホームセンターや種苗店で、野菜などの種を買う時に売られている種のパッケージのどこかに「F1」という文字をよくみかけます。

このF1は、固定種子同士を交配させた雑種の1代目(雑種第一代)を意味します。雑種第一代を英語を書くと、Filial 1 hybridと表記し、この表記からFと1を取ってF1種と呼ばれています。

すごく簡単に説明すると、F1種が雑種種子で、なんらかの理由で色んな種子を組み合わせたもので、固定種子は代々親から子へ同じ形質をずっと受け継いできた種子になります。(固定種子はP種と呼ばれることもあります。)

F1種がどんなものかを知るためにも、F1種と固定種子の特徴をみていきましょう。

>>農林水産省の品種についての資料pdf<<

固定種子の特徴

固定種子の特徴は深堀すると色々とありますが、主な特徴のみをピックアップすると以下の様な特徴があります。

  • 発芽や成長にバラつきがある。
  • 収穫量が安定しない。
  • 品質が安定しない。
  • 自家採取した種で同じ品種の作物ができるため、毎年種を購入しなくてよい。
  • 野菜本来の風味を楽しめる。
  • 環境への適応力が高い。
  • 一般流通のものと差別化できる。
  • 有機農業や自然農法に適している。

F1種子の特徴

F1種子の特徴も深堀すると色々ありますが、主な特徴のみをピックアップすると以下の様な特徴があります。

  • 同じ形質の種が採れないため、毎年種を購入しないといけない。
  • 発芽や成長が均一。
  • 大量に収穫できる。
  • 野菜に発生する病気を防ぎやすい。
  • 一般受けしやすい野菜をつくれる。

固定種子のF1種子の特徴を比べてみると解りやすいですが、F1種は病気にかかりにくく、品質を均一化して安定供給するために品種改良した種子ということになります。

スーパーや百貨店などで一般的にみかける野菜は均一化されているものがほとんどで、曲がったキュウリや大きさがバラバラの野菜コーナーはほとんどなく、その市場ニーズに合わせて、般農家さんはF1種の種子をつかって、農業を営んでおられる方が大多数ということになります。

因みに、雑種配合は遺伝子組換にはあたらないので、遺伝子組換のモノを食べない様に気にされている方は、その部分に関しては安心しても大丈夫そうです!

F1種が悪者扱いされている理由

F1種の野菜嫌われ者

F1種の野菜を食べると男性の生殖能力が低下する」などの情報がメディアで紹介されてから、F1種は急激に悪者扱いされていった背景もありますが、自然農業など、昔ながらの農業をされている農家さん達は、そもそも大量生産をする為に品種改良するのは自然の摂理から外れていると、はなから悪者扱いにしています。

スーパーや百貨店やインターネット、最近ではコンビニでも普通に野菜が売られていますが、これだけ野菜が気軽に手に入る様になった背景には、F1種子が一役買っていることはいうまでもありません。

野菜などの農産物の安定供給が出来なくなると、食料自給率が下がり海外からの外交圧力により、経済が苦しくなりますし、飢えや栄養失調で苦しむ人が増えることになるかもしれませんが、経済や流通拡大ばかりに焦点をあて過ぎてしまうとバランスを崩してしまい、例えば健康被害などのマイナス面が生まれないとも限りません。

例えば、ここ数十年で車などの移動手段、携帯電話やインターネットの普及、新しい働き方などで、便利さは急速に進歩しました。

便利さや利便性だけに焦点をあてるとすごい成長ですが、その反面、ヒトのカラダの機能に目を向けると、筋力や体力の低下を引き起こしたり、日常動作の単一化などから、身体操作の退化を生んでしまい、それが健康被害へと広がっていきます。

これらの例は、現代社会では数えられない程あり、ある学者の表現を借りると、古き良き日本の「持続型社会」から「合理主義社会」へと変わったということになります。

F1種子も合理主義社会の一環ですので、必ずどこかに歪がでてしまいます。

私はF1種子反対派という訳ではなく、大量生産や流通をスムーズにすることにおいては、一目置いています。

ただ、私の仕事のテーマは「健康」なので、この面からみると、合理主義やF1種子は間違いなく健康にいいものではないと感じているので、極端ではないですが、私も健康面から考えて、F1種は悪者だと考えいます。

F1種の野菜は溶けるの真意

F1種野菜溶ける真意

恐らく、F1種の野菜は溶けると噂している方々は、私と同じように健康面からみて、F1種を良く思ってない方々が多いのではないかと思います。

ただ、F1種の野菜を悪くいう為に「溶ける」という表現をどうして使ったのか、ここが気になったので色々と調べてみました。

まず「とける」ですが、ネットなどで色々と調べると「溶ける」という文字が使われています。

溶けるという言葉を辞書で調べてみると「固体が熱や薬品などによって、液状になる。」や「液体の中に平均に混じって、液体と一体になる。」という意味がでてきます。

これを「F1種の野菜は溶ける」に、そのままの日本語で当てはめてみると、ちょっと不自然です。

F1野菜に熱や薬品の作用を加えれば確かに最終的に溶けますが、これは固定種子でも同じことが言えますし、(もしかしたら繊維質が多いなどの理由で、固定種子は溶けにくいのかもしれませんが。)液体の中に平均に混じって液体と一体になることについても同じことが言えます。

では「F1種の野菜は溶ける」という噂の真意はどういうことなのでしょうか。

色々と調べていくうちに、ある1冊の本に出会いました。

日本のフードプロデューサーであり、日本オーガニックレストラン協会代表理事である、南清貴さん著書の「実は危ない野菜」という本です。

この本の中で、緑色が濃い葉野菜(有機を謳っている野菜だったみたいです。)を、冷蔵庫で保管していたところ、冷蔵庫内で野菜が溶けて腐っていたということが書かれていました。

恐らく「F1種の野菜は溶ける」という噂はこの辺りからきているのでしょう。

溶ける = 腐る

なので、F1種の野菜は腐りやすい可能性が高いということかもしれません。

ある自然農家さんに野菜の話を色々聞いている時に面白いことを言われていました。「自然農法など農薬や化学肥料をまったく使ってない野菜は枯れて、逆にそういったモノを使っている野菜は腐る。」この様に仰ってました。

これらのことからいえるのは、自然界の摂理からはみ出ているモノ(人為的又はケミカルなモノ)は、腐りやすいということなのかもしれません。

そもそも、F1種で出来た野菜は安定した種をつけなかったり、性質が安定していないので、少なくとも生命力の弱い野菜であることは間違い無さそうですね!

F1種の野菜はなぜ溶ける(腐る)のか?

F1種の野菜何故溶ける

F1種の野菜の様に人為的につくられたモノは腐りやすい(溶けやすい)ということはある程度イメージ出来ましたが、そもそもF1種の野菜はなぜ腐りやすいのでしょうか。

南清貴さん著書の「じつは危ない野菜」の中では、硝酸態窒素の過多が原因だと解説されていました。

硝酸態窒素は、植物の成長に必要不可欠な物質なので、必要といえば必要ですが、F1種の野菜は生命力の弱さから硝酸態窒素を過剰に摂取したり、F1種の野菜は肥料をたっぷり与えられる機会が多く、その肥料にはたっぷりと硝酸態窒素が含まれているので、これらのことによりF1種は硝酸態窒素過多になっている様です。

硝酸態窒素を過剰に摂取している野菜はアクが多くなってしまうので、アクがたくさんでる野菜は硝酸態窒素が大量に含まれている腐りやすい野菜の可能性がありますね。

硝酸態窒素が大量に含まれている野菜がなぜ腐りやすくなるのかというメカニズムを色々と調べてみたのですが、残念ながらみつかりませんでしたが、硝酸態窒素を多く摂取してしまうと、カラダに与える影響を以下にまとめます。

以下を読んでいただければ、なぜ腐るのかがなんとなく理解できると思います。

硝酸態窒素がカラダに与える影響

F1種の野菜カラダの悪影響

硝酸態窒素をカラダの中に継続的に取り込んでいくと、カラダの中で亜硝酸態窒素という物質に変化して血管内に取り込まれ、血管内に取り込まれた亜硝酸態窒素は、血液中のヘモグロビンと結合することで、カラダ全体に酸素を運んだり、二酸化炭素を回収するという働きを阻害してしまいます。

硝酸態窒素については農林水産省のHPでも取り上げられており、野菜から摂取する健康への影響などが説明されています。しかしながら、多くの項目において「はっきりしていない」「証拠にはならない」という記述で、結局体にとって害を成すのかなさないのか、具体的な方針が示されていないのが実情です。

>>農林水産省「野菜等の硝酸塩に関する情報」<<

酸素や二酸化炭素が正常に運搬できないだけでも恐ろしいことですが、硝酸態窒素は消化器官でも、タンパク質が分解された時にできるアミンという物質とも結合し、ニトロソアミンという強力な発がん性物質をつくりだします。

大東亜戦争以前に癌で亡くなる方は、死亡原因ベスト10にも入っていなかったものが、戦後の合理主義の推進により、死亡原因のトップに躍り出たことの要因の1つとして、このニトロソアミンがまったく関与していないとは言い切れないのではないでしょうか。

「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんの対談分に、以下の様な記述がありました。

さらに危ないのは化学肥料を施しすぎた野菜で、要注意です。
このような事件がその後も多発したために、ヨーロッパでは硝酸態窒素に対して厳しい規制があり、EUの基準値は現在およそ3000ppmと決められています。それを超える野菜は市場に出してはならない。汚染野菜として扱われるのです。
ところが日本にはその基準がなく野放し。農林水産省が不問に付しているからです。スーパーで売られているチンゲンサイを調べたら硝酸態窒素、いくらあったと思いますか? 1万6000ppmですよ! 米はどうか? 最低でも1万2000ppm。高いほうは……とんでもない数値でした。ここには書けません。皆さん、パニックになってしまうから。
(引用:「日本人だけが知らない!日本の野菜は海外で「汚染物」扱いされている」)

健康にいいからというイメージで、スーパーなどに並んでいるキレイに揃った不自然なF1種の野菜をせっせと食べているのに、逆に不健康になっていく可能性があるということは、すごく皮肉なことですね。

無農薬や有機野菜と謳っていても、硝酸態窒素が多く含まれている可能性も十分にありますので、健康面を考えて野菜を選ぶときは、自然農法を謳っていたり、信用できる農家さんから直接購入するということがおすすめです。

まとめ

F1種の野菜溶ける まとめ

F1種を肯定的に捉えている方が圧倒的に多いので、今回は別の方向から解説してみました。

野菜の種だけにとどまらず、世の中の事柄はすべて陰と陽で成り立っているので、何が悪いということはありません。大切なのはどの視点から物事をみるかということです。

合理主義や便利な観点からみるとF1種は凄くいいものにもみえますし、健康の面からみれば固定種は凄くいいものにみえます。

みる人や、みる視点によっては、物事は真逆にもみえてしまいます。違う意見や視点の方を否定するのではなく、それぞれが独自の視点で物事を判断し、納得してチョイスしていくことが肝要です。

私は物事を健康面からみることが好きなので、今回この様な感じの記事になっています。共感できる方が多かったら記事執筆者冥利に尽きますね。

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n+編集長

やまだ

ライター

山口県出身で、現在は大阪・山口を拠点に“健康”と“教育”をテーマに、トレーニングジム・健康サロン・児童福祉施設・自然農畑を運営。 自身の身体不調をきっかけに現代医療に見切りをつけ、補完療法や自然療法を軸として「効果的」「簡単」「安価」をキーワードに、誰でも気軽に出来る健康実践法を追求し続けている。心許せる信頼出来る各分野のプロフェッショナルにサポートしてもらいながら「人生おもいっきり愉しむ計画!」を稼働中。